2021年春、三菱電機の寒冷地用エアコン、ズバ暖霧ヶ峰、の一番安いKXVグレードを購入しました。
MSZ-KXV4022S
購入したのは4.0kWのMSZ-KXV4022Sです。業者向けのルートから購入できたので発売間もなくですが本体価格は11万円ぐらいで手に入りました。(工事費は別途)
MSZ-KXVxx22はそれまで販売されていたMSZ-KXVxx20から基本性能は変わらないもののベースグレードが変更されており、外観がAXVxx20のものとなりスタイリッシュになりました。それに伴いフラップの取外しやオープンができるようになったり、除湿がスマート除湿対応になったりと基本機能も充実しました。
さすがズバ暖!高温風!
私の住んでいるところは長野県、北アルプスが綺麗に見える地域です。冬の1月~2月ともなれば朝の冷え込みは厳しくなり、-10度まで下がる日もあります。これだけ冷え込むと普及クラスのエアコンでは部屋が温まるまで相当時間がかかってしまいます。
そこで頼りになるのは寒冷地対応エアコン、「ズバ暖霧ヶ峰」です。購入したのは廉価版ですが基本性能は確かにズバ暖です。
まず噴き出す温風の温度が違います。-10度まで冷え込む朝でも熱い温風がしっかり出ています。特にムーブアイ(体感温度)を無効にしたときは温水ルームヒーターに近いぐらいの高温を感じました。
素早い除霜
また暖房運転で避けては通れない室外機の除霜運転ですが、廉価版なので除霜中は運転が止まってしまいますが、普及クラスのエアコンでは実現できない速度で霜取り運転を完了します。室外機に霜ががっつり付着した寒い朝でも3分ほどで霜を溶かし切り、10分あれば元通りに運転しています。
比較対象としてダイキンのうるさら(2018年)が同一空間にありますが、こちらは上位モデルということで通常モデルながら-10度でも十分な温風を噴き出す性能がありますが、除霜速度が遅く、霜を溶かしきるまで10分ほどかかり、再度温風が出てくるまでは15分~17分ほど掛かりました。
あと寒冷地モデルというと室外機に凍結防止ヒーターが定番となっていますが、今のところ当方の環境では必要になったことはないです。というのは上記のうるさらで室外機ドレン水が凍結してしまったことがないからです。
ヒーターというと暖房性能に影響しそうに感じますが、実際には除霜した際のドレン水が室外機の底部で凍結してしまわないようにするためのものなので直接暖房性能には結びついていません。このヒーターが活躍するのはもっと寒い地域なのかもしれません。
廉価版ズバ暖の欠点
廉価版ということでやや物足りないところもあります。
まず風量不足を感じます。エアコンなので部屋の天井付近に取り付けられるわけですが、せっかくの熱い温風が風量自動では床までしっかり届いていないと感じることが多々ありました。なので冬場は風量を強めで固定して運転させていました。
一つ上のNXVグレード(XDグレード)あたりならフラップが大きくなっているので基本性能は似通っていても暖房の快適性は高いのではないかと推測しています。
購入当時の下調べで「自動おそうじ機能はいらない」とか「室内機は軽いほうがいい」という意見を重視しすぎたため、本体の大きさからくるフラップや送風経路の余裕などを軽視してしまった感はあります。
本当に寒冷地モデルが必要な地域なら、こういったカタログスペックからは推測が難しい部分も考慮して機種選定をした方がいいと思います。
実際、上記のうるさらのほうが風量がかなり豊富なため、足元を温める能力はこのズバ暖KXVよりはるかに高いです。
冷房・除湿は余裕で運転
エアコンなので冷房性能も大事です。
寒冷地モデルということでコンプレッサーは大型のものが搭載されています。これは冷房時の余裕にもつながっているようです。普及モデルではコンプレッサーが高回転で唸って運転している様子をYoutubeで拝見しましたが、このズバ暖霧ヶ峰では廉価グレードながらコンプレッサーの音には余裕を感じます。
当然噴き出す冷気もキンキンで4.0kW機ながら合わせて20畳ほどになる空間も1台で賄うことも可能でした。冷房運転では先ほど欠点として挙げた風量不足はなく、むしろダイキンのうるさらのように送風音がうるさくなくて快適でした。
除湿も強力で、除湿運転を開始すれば20畳の空間でもスーッと湿気が取れていくのが体感できました。梅雨時などは寒くなりすぎることも多かったですが、その場合は手動で停止するなどして間欠運転していてもいいのではないかと感じます。除湿運転を開始してすぐに湿度がぐんぐん下がっていくのは上記のダイキンうるさらではできないことなので、うるさらみたいに複雑な制御をしていない分人間が介入しやすいと感じます。
除湿寒すぎに関しては最初から再熱除湿搭載モデルを買うのが正解だと思います。
サーモオフでの湿度戻りは健在
霧ヶ峰で避けては通れないのが冷房運転でサーモオフになった場合の湿度戻りです。もちろんこのズバ暖霧ヶ峰でも湿度戻り機能(?)はしっかり搭載されています…。
サーモオフとは設定温度を下回りコンプレッサーが停止する状態をいいますが、メーカーによってサーモオフ時の室内機の送風制御が違います。
使ったとこがある機種で挙げれば、たとえば上記ダイキンうるさらや、ダイキンのミドルレンジのFシリーズなどは「ドライキープ」機能があり、コンプレッサーが停止したときの室内機の送風を止めることができます。
しかし、霧ヶ峰全般(?)はコンプレッサーが停止したときに送風を止める設定がありません。これでは室内機の熱交換器に付着した水分がどんどん室内に戻ってしまい、湿度50%代で快適だった部屋が一気に湿度70%代まで湿度戻りしてしまうことがかなりありました。
サーモオフ時の送風は、室温を正確に検知するためや、内部に湿気がたまってカビてしまうのを抑制するためとかがあるんだと思いますが、部屋の快適性を犠牲にしすぎな感じがします。
個人的にやってきた対策としては、日が沈んで室温が設定温度を下回りそうになってきたら「除湿モード」に切り替えて対処してきました。除湿モードならちょっと寒くなりすぎることもありましたが、不快な湿度戻りの発生は抑えることができました。
メンテナンス性
霧ヶ峰の特徴として掃除のしやすさがあげられます。このKXVも室内機が新しいタイプとなりメンテナンス性が向上しました。
フラップが外せるのはもちろんですが、左右ルーバーもオープンすることができ、送風路の掃除も簡単にできるようになっています。
総評
廉価グレードながらズバ暖霧ヶ峰という名に恥じない強力な暖房能力を備えています。冷房や除湿能力など基本性能もかなり高いです。シンプル故自動おそうじ機能や再熱除湿は搭載されていませんが、その分室内機はコンパクトで軽量、奥行きも少なく壁への負担軽減はもちろんのこと、シンプルなデザインも相まって威圧感も少なく、シンプルながら高性能なエアコンです。
やはり冷房時の湿度戻りはちょっと改善してほしいです。裏メニューでもいいのでサーモオフ時の送風の有無を選択できればベストかなと思います。
たとえ同じ家の中でも部屋が違えば条件が違うので、なかなか正確にお伝えすることは難しいですが、ズバ暖霧ヶ峰が気になってる方の参考になれば幸いです。
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